じゃりン子チエ Chie the Brat

Chie the Brat
じゃりんこちえ
漫画アクション
Manga Action
コテコテのキャラが生み出す大阪のバイタリティーが痛快。
The vibrant energy of Osaka, created by its exaggerated characters, is exhilarating and full of life.
manga?genre=cm101&page=1&sort=pubDateDesc&title=%E3%81%98%E3%82%83%E3%82%8A%E3%83%B3%E5%AD%90%E3%83%81%E3%82%A8&author=%E3%81%AF%E3%82%8B%E3%81%8D%E6%82%A6%E5%B7%B3
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このマンガのレビュー
1970年代から80年代において、地方在住のわたしにとって関西を強烈に感じさせてくれるTVコンテンツといえば、「ヤングおー!おー!」、「お笑い花月劇場」、「どてらい男」など花登筐の手による大阪を舞台にした小説やドラマ、そして「じゃりン子チエ」であった。その後1980年代半ばから約5年間関西に住んでいたのだが、当時夕方に何度となく「じゃりン子チエ」のアニメが再放送されていたことを覚えている。
それはさておき、「じゃりン子チエ」のマンガ的面白さは、独特の筆致による世界観とクセのあるキャラクター描写もさることながら、キャラクターの関係性、もっと言えば力関係のバランスが絶妙なことである。主人公チエの父のテツや祖母の菊(おバァはん)のように、一見すると理不尽なくらいの無双キャラがひしめいているのだが、必ず何らかの精神的な弱点のため、時には意外とも言うべき登場人物に頭が上がらないのである。この「物理的力関係」ではなく「精神的な弱点」というのが(*)、本作のように時間が無限ループしキャラクターの成長がない世界観において、巧妙なじゃんけんのようなバランスを生み出し物語に幅を持たせている。また、チエの母のヨシ江の俊足ぶりやチエの親友のヒラメの画力や音痴など、他には絶対に負けない強みを持っており、各キャラクターの個性と立ち位置を際立たせている。
わたしにとって「じゃりン子チエ」は世界観とキャラクターを際立たせ、濃いながら嫌みのない群像劇の教科書とも言える作品である。
*作中に、いつも腕力でテツを屈服させており、「物理的力関係」を過信した菊が覆面姿でテツを襲撃し、返り討ちに遭ってしばらくの間落ち込むというエピソードがある。