スポーツマン金太郎 SPORTSMAN KINTARO

このマンガのレビュー
懐かしの少年マンガシリーズ③
三つ目に紹介するのは「スポーツマン金太郎」。1959年に創刊された「少年サンデー」から連載が始まっていますがその表紙は長嶋茂雄でした。この当時野球は少年たちの憧れのスポーツでした。巨人軍で活躍する金太郎、そのライバルの桃太郎やターザンとの対決を毎週ハラハラしながら読んでいたものです。
野球マンガといえば「魔球」を登場させたり、複雑な人間関係を絡ませたりするものが多いのですが、この作品は極めて単純明快。野球を大好きな少年が懸命な努力を重ねてプロになって大活躍をするというお話です。
そんなマンガのような少年が現実に現れて日本のプロ野球や大リーグで大活躍しているのが大谷翔平ではないでしょうか。この作品は大谷を生み出した原点ともいえるもので、その遺伝子は現在も連載中の「MAJOR 」にも受け継がれています。
金太郎、桃太郎、乙姫などおとぎ話のキャラクターをマンガに登場させたこの作品は時代を先取りしていました。最近のCM を見ればそのことがよくわかりますね。
作者の寺田ヒロオは藤子 不二雄Ⓐの「マンガ道」によれば、テラさんと呼ばれ、トキワ荘の住人たちの兄貴分的な存在でした。二人の藤子、石森章太郎、赤塚不二夫たちにとっては頼りがいのある先輩マンガ家として描かれています。
次第に活躍の場を広げていく若い作家たちに対して、寺田は作品発表の機会がだんだんと少なくなっていきます。その原因は、当時の出版界が子どもたちに対して「より刺激的な作品」を求めるという風潮に耐えられなかったからだと言われています。
良心的作家と言われた寺田は1960年代の終わりにはマンガから離れます。しかし寺田がマンガにこめた良心、倫理観、道徳心は、混迷を深める今の時代だからこそ求められているのではないでしょうか。