柔俠伝 Jukyoden
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Jukyoden
じゅうきょうでん
週刊漫画アクション
Weekly Manga Action
スポ根が少年の正義の形なら、任侠は大人の美学の世界。漫画が大人の読み物になっていく時代の到来。
If sporting is a form of juvenile justice, chivalry is the world of adult aesthetics. The era in which manga is becoming an adult reading material has arrived.
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このマンガのレビュー
地方マンガセレクション②
戦後マンガ第一世代である私たち団塊世代には忘れられない作品ですが、今の若い人にはあまりその素晴らしさが伝わっていません。アメコミの影響を受けた劇画風の絵柄、明治から昭和へと延々と続くシリーズの長さ、物語の舞台が次々と移り変わる目まぐるしさ、安保闘争など大衆運動のテーマの重さなどがネックとなっているようです。
トキワ荘に集まった作家たちは手塚治虫の影響を強く受けていましたが、70年代にブームとなった劇画はそれまでとは違った世界を切り開きました。手塚風の丸っこいファンタジー風の絵柄が主流だった頃に、角張ったリアルな絵柄の作品は異質でした。手塚が引き起こした戦後マンガ第一次革命に続き、劇画の登場は第二次革命ともいわれたものです。
その代表が白土三平、さいとう・たかを、そしてバロン吉元でした。あれから50年あまり経ちますが、今でも革命は続いています。マンガの中に現実世界を持ち込んだ劇画の精神は今でも深く根を下ろしているからです。
この作品のシリーズとしての長さにも注目です。今では100巻を超える作品は多くありませんが密度が違います。主人公を変え、時代背景を変え、テーマを変えながら物語を紡いでいく姿勢は今のマンガには失われてしまいました。大河マンガともいうべき作品の壮大さに改めて脱帽です。
60〜70年代に時代を席巻した大衆運動、たとえば大牟田での三池炭鉱争議、熊本のダム建設反対運動、水俣病問題、阿蘇の開発問題など地方をテーマにしたこともユニークでした。あの頃は地方のパワーが爆発していました。マンガはそんな世相を反映していたのです。マンガを読んでパワーをもらっていた時代の作品を読み返して、もう一度日本人に元気を取り戻してほしいものです。