750ライダー 750 rider
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このマンガのレビュー
「750ライダー」は、オートバイが自由と解放の象徴だった時代の映し鏡である。
令和の今、オートバイに乗るのは、ヤンキーか、老人のいずれかで、一般の人には縁遠くなっている。排気量750ccのバイクがどんな存在だったのか、バイクに乗るという行為がどういう意味を持っていたのか知っておきたい。
戦後の日本経済の発展を支えたのは、人手よりも多くの重い荷物をスピーディに運ぶことが可能でありながら、自動車に比べて廉価で小回りが効き経済的なオートバイであった。このため、二輪免許は簡単に取ることができる時代、排気量無制限のオートバイに乗れるような時代が1960年代の半ばまで続いていたのである。
高度経済成長が軌道に乗り、また、交通事故防止の重要性が高まると、国産オートバイの排気量の上限を750ccにする自主規制が設けられ、また、排気量400ccまでのオートバイにしか乗れない中型限定自動二輪免許が設定された。排気量無制限のオートバイに乗るための「限定解除」をするのは、合格率1割に満たない厳しい試験を通過する必要があった。つまり、「750ライダー」の主人公・早川光は、高校2年生にして、限定解除試験に合格するほどの運転技術を持ち、最上級の存在である750ccのオートバイに乗っていることを意味しているのである。
「750ライダー」の連載が始まった1975年頃は、1学年160万人ほどで、高校への進学率が90%を超えて「普通」になった時代。前の世代からの管理教育・受験競争の厳しさは続いていた。その管理・競争への反発が、アメリカ映画「爆走!ヘルスエンジェルス」や「イージーライダー」にも見られるような、オートバイに乗るという行為であった。
「750ライダー」は、10年連載され、単行本は50巻に達した。主人公の見た目や性格、各話の基本的な流れは大きく変わったが、主人公早川光は高校2年生のままだった。着用義務化されていたヘルメットも最後まで着用していなかった。