サブマリン707 Submarine 707
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このマンガのレビュー
1963年、「サブマリン」という当時耳慣れぬカタカナのタイトルを冠したマンガの連載が始まった。後に「沈黙の艦隊」のヒットで主役メカとしての潜水艦が広く認知されたが、当時はまだ知名度が低く、「サブリマン」と誤読されることもあった。
本作の第1部である「U結社篇」はブラジル行きの定期船が謎の潜水艦に襲撃され、乗船していた少年3人が海上自衛隊の潜水艦SS707号「うずしお」に救出されるところから始まる。謎の潜水艦は世界統一をもくろみるU結社のものであり、707号及びその僚艦との海底における壮絶な闘いが繰り広げられる。戦闘シーンは小気味良いテンポでまさに手に汗を握る展開であり、「ドンガメ」と称される鈍足の旧型艦707号(I世)で敵潜水艦と互角以上に戦う速水艦長の戦術が光る。敵の首魁であるシュミット・ウルフはかつて第二次世界大戦で速水と共に戦い、命を救われたことがあり、敵味方として対峙する葛藤、特にウルフの迷いが戦記物のテイストで描かれている。
本作を際立たせているもののひとつに作中コラムの「サブマリン教室」がある。「サブマリン教室」は潜水艦の基礎知識や作中の兵装(本作の初期は実在のものが多かったが後に大半が架空のものとなる)や対潜水艦、海上艦艇、航空機戦が図解入りで解説され、読者の理解を深めると共に、架空兵装を含め作品世界のリアリティを高める働きを担った。
加えて、今井科学から発売された707号他のプラモデルは読者が本作の世界観に没入するアイテムとなった。このモデルは水中を航行し、機械式浮沈装置により自動で潜航と浮上を繰り返す仕様となっており、模型少年の憧れの的であった。
本作は直接、間接的に後の艦船冒険ものに影響を与え、作中にオマージュされた。本作の連載終了から長い月日を経て日本のアニメ界に大きな影響を与えた艦船活劇がテレビ放映された。
「宇宙戦艦ヤマト」の放映開始まであと9年。