うる星やつら Urusei Yatsura
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このマンガのレビュー
高橋留美子の出世作であるSF学園ラブコメ「うる星やつら」は80年代のマンガ・アニメの代表作として輝きを放ち、2022年の再アニメ化も含め長きにわたりインパクトを残している。
本作については1981年より放映されたTVアニメ、そして1983年の第一作「オンリー・ユー」、押井守の名をコアなファン層に印象づけた「ビューティフルドリーマー」等のオリジナル4作と原作の最終エピソードを下敷きにした完結編の劇場版アニメの影響が計り知れない。当初こそ原作の内容に準拠した1回2話のフォーマットであったが、1回1話になるに当たり原作回への追加エピソードの挿入や完全オリジナル回が多く作られ、アニメ版スタッフの「暴走」として物議を醸すこともありながらも人気の増幅に拍車をかけた。こうしたオリジナル回は特に原作ではモブキャラ扱いだった「メガネ」はアニメ版ではエキセントリックなキャラクターとして、声をあてた千葉繁の怪演も相まって、ストーリーの強烈なアクセントあるいはエピソードの主役級として主要レギュラーメンバーとなり、作品世界の拡大の一翼を担った。
アニメ放映に合わせて出版された「少年サンデーグラフィック」シリーズは綴じ込みのミニポスター、セル画、シールならびに高橋留美子およびアシスタントにより描き下ろしの日記マンガ、アニメの設定資料集を掲載したムック本で、アニメ情報誌のようなサードパーティではなくマンガの出版元自身によるムック本の嚆矢となった。
さらには日本におけるコスプレの草分けである「ファンロード」誌での一本木蛮のラムのコスプレ、アマチュアのみならずプロのクリエイター(マンガ家、アニメーター)による同人誌、アニメのモブシーンでのラクガキ等の二次創作等、ある意味インフォーマルなクロスメディア展開の先駆けでもあった。
クロスメディア展開という観点からも、「うる星やつら」は異彩を放つ存在であった。