綿の国星 Cotton's Country Star
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Cotton's Country Star
わたのくにほし
LaLa
LaLa
この世に一欠片存在するピュアな水の一滴、その味を静かに味わう世界。ジャンル分けの不可能な名作。
A world where one quietly savours the taste of a drop of pure water, the one piece of pure water that exists in this world. A masterpiece that cannot be divided into genres.
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このマンガのレビュー
大島弓子先生の丁寧な線と白黒のコントラストが印象的なビジュアルスタイルで繰り広げられる捨てられた子猫から見た世界。縦長のコマが多く、読者は日常的に見慣れた町の風景を小さくて鈍い捨て猫の低い視点から見てこそ明らかになる猫同士の価値観や考え方の違いを実感できる。
「人間になれるルートは2つ:人間として生まれて成長して大人になるのと、猫として生まれてある時点で人間に変身する」というチビ猫の可愛らしく、うぶながら頑固な思い込みに読者が惹かれ、癒される。チビを拾う新しい飼い主の時夫という青年に伴う人間社会のあらゆる事情と同じように、野良猫社会にも複雑な事情もあることに少しずつ気づくチビ猫。
今も伝統を受け継いでいる日本のアニメやゲームのキャラクターデザインの象徴的なモチーフとなってきた「猫耳」をマンガで初めて取り入れたとされている作品だが、それよりもさらに革新的で賞賛すべき試みは、単純に猫は猫として描くのではなく、あえて「子猫を小さな女の子として描く」という本作のキーコンセプト。マンガという媒体の無限な想像力を活かしてこそ可能な表現であろう。このように読者には猫が発するセリフは言葉としてわかるが、物語の中の人間には猫の鳴き声としてしか聞こえないという、温もりも切なさも、心から感情移入できるこの作品の優れたポイントである。