あさりちゃん Asari-chan
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このマンガのレビュー
「あさりちゃん」は小学館の学年誌『小学一年生』~『小学六年生』、『コロコロコミック』『ぴょんぴょん』(いずれも小学館)に掲載された家庭ギャグマンガ。活発な少女「あさり」と姉の「タタミ」による兄弟ゲンカを軸にしたドタバタギャグで、姉妹の共同ペンネームである作者室山まゆみの実体験(?)を元にしたようなリアリティがある。同じく姉妹が登場するさくらももこ「ちびまる子ちゃん」のようなノスタルジーはなく、時事的なトピックを多数織り交ぜつつの35年以上の長期にわたり連載され、単行本は100巻を達成した。この1978~2014年の連載期間は、同じく時事ネタが多い秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(1976~2016年)と近く、少女向けの「こち亀」ともいえる存在である。
『小学二年生』の連載を最後に全100巻でいったん終了したが、その後「あさりちゃん5年2組」「あさりちゃんリベンジ」「あさりちゃんinパリ」3冊が出版され(最新刊は2024年12月発売)、描き下ろしシリーズとして現在も継続中。底抜けに明るいあさりちゃんに今でもリアルタイムに出会える嬉しい作品である。
勉強は苦手だけどスポーツ万能、大食漢で暴れん坊。永遠の小学4年生といえば、あさりちゃんだ。そんなあさりにけんかで勝てるのは、姉のタタミ。あさりとは正反対に、頭脳明晰、だけど運動音痴。この凸凹姉妹は約36年間の長期連載中、多くの読者にとってかけがえのない友達だった。
本作では、食べ物や怪談話など、いつの時代の子どもも好きなテーマが描かれている。流行りのおもちゃなど時事ネタも満載。例えば、1986年刊行の22巻ではあさりがファミコンを欲しがる回が。1997年刊行の53巻では、「チョベリバ」などコギャル語を使うあさりも登場する。
また、子どもに向けた生活マンガだと、『ドラえもん』や『サザエさん』のように登場人物の服装はいつも同じであることが多いが、本作は『ちゃお』などの少女マンガ誌で連載されていたこともあって、作中のファッションはおしゃれ。その時々の流行も反映され、2010年刊行の93巻ではブーツとサンダルがひとつになった「ブーサン」がネタになったりしている。
当時の小学生がどんなことに興味があったかを垣間見られる本作は、大人になってから読んでも心が浮き立つ。あさりを通して「小学4年生」にいつでも戻れるからかもしれない。
連載は終了したが、不定期に単行本の続刊も出ており、さらにはXの公式アカウントであさりちゃんの近況イラストもたびたび公開されている。令和になった今なお、あさりちゃんに会えるのが嬉しい。